春から長くに渡って学んだ西洋音楽史、いよいよ最終回です、第15回。
バッハの演奏の変遷についてスポットを当ててこの章はまとめてありました。
過去の作品を楽譜を通じて演奏し出したのは18世紀後半から19世紀にかけてのこと。
メンデルスゾーンによるマタイ受難曲の
蘇演をきっかけにバッハの復興が進んだ。
使用楽器を変更、現代楽器を用いている。
当時はバッハがどのような演奏を行ったかより演奏習慣や聴衆の好みに合わせる配慮をした。
蘇演の成功によりバッハの全集の出版が行われた。
実用版が作られた。
19世紀から20世紀初頭にかけてロマン主義的演奏法によってバッハは奏された。
新即物主義→美術に由来する概念、個人の主観的な表現を排する芸術思潮。
20世紀には原典版が尊重されるようになった。
しかし、和音を分散和音で奏するその時代の演奏法からいえるように必ずしも楽譜に忠実ではない。
古楽演奏が見られるようになった。
古楽器、ピリオド楽器、オリジナル楽器を用いる。
20世紀後半には現代楽器演奏と古楽演奏は対立関係に陥った→現在は緩和
バッハが「やったこと」がバッハが「やりたかったこと」なのか。
過去の響きという知り得ないものを理想化して憧憬するのはロマン主義的態度といえる。
近年の傾向として
折衷的演奏。現代楽器による過去の奏法の採用。
歴史の再現でなく、現代において楽曲を活かし楽しむため。
歴史に向き合おうとすることで引き起こされる緊張が音楽を新鮮なものにする→音楽史を学ぶ意義
バッハを演奏し指導する立場からも、あらためて確認し後押しになった章でした。
全15回を振り返って、
学生時代に詰め込んだテストで点をとるための知識としての音楽史でなく、
今の年齢や経験値でないとアプローチできなかった深いところから学びを得たように思いました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。