ショパンコンクール本選最終日、小林愛実さんの演奏について書いていきたいと思います。
ネックレス、お守りなのですね。袖でずっと握っていらっしゃいました。
コンチェルト1番、第1楽章。
オケから始まり、しばらくしてピアノが入るのですがその間ピアニストは何を思うのか。
出だしは落ち着いたテンポ設定、地に足着いているのがわかりました。
強靭なメンタルにいつもすごいなあと思います。
哀愁のメロディに苦悩の表情を浮かべながらの演奏。
オーケストラに乗せて奏する部分は、調和の中にも彼女の世界はちゃんと持っていてしっかり現れています。
オーケストラはとても協力的で優れたスペシャリストの集まりだということがわかります。
第2楽章。穏やかな美しい旋律なのに音の粒が立っている、ただ甘いのではなく意志の強さみたいなものを感じさせる演奏。
弾きながらオーケストラあるいは指揮者を見つめ笑みを浮かべたりと、最高の舞台の幸せを感じているのかなあと聴いている私も胸がいっぱいになってきました。
第3楽章。
軽やかで楽しげな軽快な音楽。
オーケストラに埋もれないようにピアニッシモが大味になったりしない、彼女の魅力であるピアニッシモが美しかったです。
大げさや過度な華美さがなく、ショパンのピアニズムに忠実な演奏だと思いました。
演奏後、カメラの正面から捉えた袖へはける姿に切り替えがあって、小林さんに笑みがなかったのが少し気がかりと言えば気がかり。
ご本人は満足でなかったのかなあ。
コンチェルトだけが審査対象でなく今までの総合的な審査で順位が決定します。
こんなにショパンコンクールにどっぷりハマって聴いたのは初めてでずっと浸っていたいから、結果が出てほしくないような不思議な気持ちです。
すべてのコンテスタントの皆さんに敬意を表します。