インベンション前のバッハの導入期の教材として、私は全音のこどものバッハを使っています。
バッハは、音楽史において、ピアノという楽器の黎明期に位置しますが、その頃のピアノは、まだ不完全でバッハは認めていなかった様子、ハープシコードやクラヴィコードのために曲を書いていました。
ピアノで奏されることを前提としていなかったのです。
それを現代のピアノで奏するというとき、どのように演奏するか、実はどこにも正解はないと思います。
そういった意味で、この楽譜は必要最低限しか書いてありません。スラーも指番号も。
初めてバッハを習う子たちには、少々使いにくい教材といえます。
その中で、敢えてこの教材を私が選んでいる理由は、インベンションへの移行が最短でできると感じているからです。
バロックの小曲を沢山やるのも良いですが、その先にあるインベンションをできれば全曲やってもらいたい思いがあるので、時間を節約したいのです。
その点、この教材は1曲あたりに、ある程度のボリュームがあり、全曲やらず、上手くピックアップすれば、少ない曲数でインベンションへ行けます。
インベンションへ移ったとき、あれ?インベンション、思ったより難しくないぞ、と思ってもらえることができたら、しめたもの。
何も書いていないからこそ、曲の作り方も勉強できますね。この教材でかなり鍛えられることになります。
生徒さんには、長く音楽を勉強するのであれば、バッハ、推奨しています。