今日はシューマンの傑作、「子供の情景」より「知らない国々」を取り上げたいと思います。
シューマンの最愛のパートナー、クララの「あなたは時々子どものように見えます」という言葉にあるように、シューマンは子どもの感性を忘れていない稀有な大人でした。
この曲は、子どものための曲ではなく、子ども心を忘れないための大人の曲だと思います。
第1曲は「知らない国々」、たった22小節なのに魅力が溢れんばかりに詰まった曲。
何千キロも離れた聞いたことも見たこともない遠い異国に思いを馳せて想像してみる、子ども心にワクワクする時間だと思います。
夢見心地で、三連符の繰り返しが心地良い、優しいメロディーに身を任せたくなります。
リストの娘はこの曲を大変気に入り、
リストに何度も弾くようねだったのでちっとも進まないと、リストに幸せなぼやきをさせたとの小話もあるほど。
内声の三連符は3つめを右でとる指示の版がオススメです。
リピートする場合は1回目と2回目で出すメロディーを変化させると素敵。
例えば1回目はソプラノを出す。
2回目は内声の最初の音を出す、中間部はバスを出すというふうに。
この手法、もはや定石ですが、美しくって身をよじりたくなるほどキュンキュンします。
ぜひ弾いて楽しんでください。