tomokoせんせいの「少し」ためになるピアノブログ

ピアノ先生歴20ン年のお母さん先生のブログです。右手2の指にジストニアを持ちつつも、9本指で演奏活動もしています。ピアノの上達はもちろん、子どもたちの心の成長のお手伝いができたら、と日々レッスンに取り組んでいます。

10月の曲

恒例になっております今月の曲。
チャイコフスキーの四季より、10月の曲は「秋の歌」です。

チャイコフスキー鉱山技師の息子として生まれ、法律学校を出て、いったん官吏になりましたが、1862年にペテルブルグ音楽院の1回生となります。
ロシアの専門教育を受けた最初の一派でした。

四季は農民の歌と西洋音楽の融合といった作品が多いですね。
この「秋の歌」も民族的なメロディーを持つ美しい曲、秋の冷涼感、澄んでいるが物憂げさを感じます。

最初のメロディーが9小節めに左にあらわれますがテノールの音域がまたいいのです。左右の呼応、掛け合いも素敵。

22小節めからは、せつなくてキュンキュンするかのようなエスプレッシーヴォ(表情豊かにという意の楽語)です。
楽譜にも念入りにエスプレッシーヴォの指示が何度も出てきます。

そして最初のメロディーが甦ってきます。三部形式の曲ですね。

さて、四季の各曲に必ず付いている詩は、トルストイの「わたしたちの庭から秋が金色の木の葉の飾りを奪った/そして木の葉はゆっくりと林の中を風にはためいて行く・・」
です。

葉がその役目を終え、落ち葉となってどこか遠くへ飛ばされていく、その寂寥感を感じる詩ですね。

秋は人を詩人にさせます。
思い切り浸ってほしい曲です。