チャイコフスキーは12ヶ月の各月をテーマにした曲を12曲作りました。「四季op.37a」です。
6月は「舟歌」、
12曲の中でも特に有名です。
冒頭、左手のリズムが舟を漕ぐ様子を表しています。
ト短調の暗い調性が、えっちらおっちらと、オールを漕ぐ手つきが重く感じられるのは気のせい?
木製の素朴な舟なんだろうな、水音と共に木が軋む音も聴こえてきそう。
四季の各曲は短い詩が添えられています。
舟歌には、プレスチューエフの詩
「浜辺で波を我々の足で愛撫させておくれ/輝く星は我々に悲しくひそかなあいさつをおくる・・・」
が掲載されています。
詩の内容からして、なるほど、舞台は夜なのですね。
確かにイメージとしてはダークグレーな曲調です。
三部形式のこの曲、中間部の明るさは救いです。
拍子まで変わっちゃって前半とは対称的に底抜けに明るい!
リズムも変化に富んで面白いです。
アクセントの指示で強拍が2拍めに移動するのが躍動感を醸し出しています。
中間部を締めくくるアルペジオの、派手派手さはチャイコフスキーらしいな。
この手法、彼のバレエ音楽にもありそうです。
そして、もとのメロディーがやってきます。
ちょっと左の舟を漕ぐ音型に合いの手が入ります。
コーダも彼らしさが出ています。
地味な(失礼、、)テーマに合わせておとなしく終わるのでなく、後味の良さみたいなまとめ方、さすがだなあ。
独断と偏見に満ちた解説だったかもしれませんが、、有名な曲だけあり、魅力的であることは間違いないです。