言わずと知れた、クライスラーのヴァイオリンの名曲を、ラフマニノフがピアノ独奏用に編曲したものです。
「愛の悲しみ」は「愛の喜び」と一対になっていて、セットで弾かれることも多いです。
どちらも超有名!
聴けば、ああ!となります。
私は断然、「愛の悲しみ」派です。
せつなさが良いのです。
戦争の影響で、ラフマニノフは母国を捨てアメリカに渡りました。
祖国を後にして何年か後の1921年作曲です。
アメリカの香りがするのは気のせいではないでしょう。
ジャジーなけだるい和音進行を感じるのは私だけじゃないハズ。
弾いていて、ラフマニノフの苦悩のようなものをあらわしたくなるんです。
彼はピアニストとしても苦労したから。
それまでも自作の曲を演奏することはあったけど、アメリカに渡ってからは他の作曲家の作品も演奏することが多くなりました。
生活のためと思われます。
40歳を過ぎてからの、ピアニストへの転向は並大抵のものではなかったのでは、と思います。
この曲が作曲(編曲)された歳、ちょうど私の歳ぐらいなんだよなあ。
弾いていて、いろいろ人生経験を積んできた、味わいみたいなものを出したいなあと思います。
ラストは、悲しみの中、曲が終わるのではなく、長調で締められます。人生は捨てたもんじゃないのごとく。
聴きかたとしては、「愛の喜び」とセットで聴くもよし、ヴァイオリンのオリジナルと聴き比べるもよし。
いろんな楽しみかたがありそうです。
なお、クライスラーのオリジナルのヴァイオリン曲としては、この2曲に「美しきロスマリン」を加えて三部作とされるようです。