3年ほど前に発売された書籍です。
1回読めば満足という類いの本ではないです。
インヴェンションを指導するたびに、そのつど該当する曲を参照して何度も読み返しています。
著者は杉浦日出夫先生、実は私の恩師であります。
ピアノ指導歴60年のベテランの先生、優秀なお弟子さんがたくさんいらっしゃいます。
先生のお人柄あふれる文章、レッスンに通った頃が思い出されるようです。
すすめていくに参考になる学習の順番も書かれており、勉強になります。
抜粋する場合の選択例も記されています。
各曲に対して単なる弾きかた、指導の仕方が書かれているのではなく、勉強のテーマとなる標題を掲げていらっしゃるのも特徴的。
その曲にまつわるエピソードなどもふんだんに著してあり、先生の音楽に対する奥行き、知識の深さに感嘆します。
指導書としてだけでなく、読み物としても面白いです。
今時の活字が少なく読みやすい本ではなく、文字数も多く、読みごたえアリ!
お得感ばっちりの一冊になっています。
続編でシンフォニアも出してほしいなあ!
最後に先生の良き指導者としての一面が垣間見れる、帯のコトバを紹介したいと思います。
「歌詞を付けて、曲名を《バッハ家の笑い》として生徒に歌わせたことがある。指が回ればよいとばかり、生徒たちがあまりにも速いテンポで弾くからである」
(本文より)