3年ほど前の話。
立派なホールでの演奏会に出演させていただくにあたって、
そのホールで、コンサートグランドで、自由に練習してよいという、またとない幸運に恵まれました。
一緒に出演する出演者さん(私の大学時代の同級生、なんなら受験前からのお友達)の練習風景に触れる機会があったのです。
その方、かなりの実力者で名の知れたコンクールの受賞歴もあって、どんな練習するのだろうと興味津々、良い練習方法があったら盗もうと、客席から見学していました。
その練習方法は、ただゆっくり。
難しい箇所や表現的に掘り下げたい箇所を何度もスローなテンポで弾くというものでした。
それも暗譜、楽譜はしっかり頭に入っている様子。
せっかくのホールでの練習、私だったら嬉しくなって、本番さながらの通し練習をバンバンやってしまうことでしょう。
彼女は、苦手な部分の穴を埋めていく作業を粛々とやっていく職人でした。
練習会が終わったあと、その話をすると、
彼女は師に「分割して弾くのが練習、通しは演奏」と言われたそう(たぶん、そのようなニュアンスだったように思います)、教えてくれました。
すぐ通しで弾きたがる私には、とても心に刺さりました。
人は誰でも、どうしても、同じような練習方法に陥ってしまいます。
時には、ピアノ仲間から、最近どう?とか、どんな練習方法してる?と聞いてみると有効な情報を得られるかも、です。