tomokoせんせいの「少し」ためになるピアノブログ

ピアノ先生歴20ン年のお母さん先生のブログです。右手2の指にジストニアを持ちつつも、9本指で演奏活動もしています。ピアノの上達はもちろん、子どもたちの心の成長のお手伝いができたら、と日々レッスンに取り組んでいます。

シベリウス「5つの小品op.75より“樅の木”」

シベリウスは、フィンランドを代表する作曲家です。ピアニストの舘野泉さんが紹介したことで、我が国でも広く知られるようになりました。

私はこの曲、弾いても聴いても、きゅっと胸が締め付けられる思いがするんです。

実は息子が最後に出演した発表会で弾いた曲なのです。(それを機にピアノをやめました)
本当は、ピアノ、そんなに好きじゃなかったんです、彼は。
母がピアノの先生だから、やらされているというような感じでした。
練習しないわりには、そんなに筋も悪くないと思うのだけど(←親バカ)。

親の視点で見てしまうから、もうステージに立つ姿は見れないんだ、とちょっとセンチメンタル寄りに曲を感じます。

樅の木は常緑樹、冬も枯れず、一年を通して青いことから永遠の命の象徴とされています。

フィンランドの厳しい冬や、作曲当時の時勢(第一次世界大戦下)においても、強く土に根をおろし立ち続ける樅の木の雄々しさを感じる曲です。

テンポの揺れ、間はしっかりとった方が聴かせます。息をのむように、その世界観に弾き手も聴き手も引きずり込まれます。
途中の32分音符のカデンツァは雪嵐のよう。
男の子が弾くとまた凛々しいんだ、これが。
終始つまらない部分がないです。大体、曲には谷間もありますが、この曲にはない。
終わりは余韻を持たせます。

暦の上では秋です。少し浸りたいときに聴いて(弾いて)くださいね。