シベリウスは、フィンランドを代表する作曲家です。ピアニストの舘野泉さんが紹介したことで、我が国でも広く知られるようになりました。
私はこの曲、弾いても聴いても、きゅっと胸が締め付けられる思いがするんです。
実は息子が最後に出演した発表会で弾いた曲なのです。(それを機にピアノをやめました)
本当は、ピアノ、そんなに好きじゃなかったんです、彼は。
母がピアノの先生だから、やらされているというような感じでした。
練習しないわりには、そんなに筋も悪くないと思うのだけど(←親バカ)。
親の視点で見てしまうから、もうステージに立つ姿は見れないんだ、とちょっとセンチメンタル寄りに曲を感じます。
樅の木は常緑樹、冬も枯れず、一年を通して青いことから永遠の命の象徴とされています。
フィンランドの厳しい冬や、作曲当時の時勢(第一次世界大戦下)においても、強く土に根をおろし立ち続ける樅の木の雄々しさを感じる曲です。
テンポの揺れ、間はしっかりとった方が聴かせます。息をのむように、その世界観に弾き手も聴き手も引きずり込まれます。
途中の32分音符のカデンツァは雪嵐のよう。
男の子が弾くとまた凛々しいんだ、これが。
終始つまらない部分がないです。大体、曲には谷間もありますが、この曲にはない。
終わりは余韻を持たせます。
暦の上では秋です。少し浸りたいときに聴いて(弾いて)くださいね。