「自分が年とってきたからかもしれないけれど、
大事なものとか美しいもの、美しいと言ってもただ見て美しいのではなくて、
心に染みわたる美しさとか、心を打たれる美しさというのは、
少し悲しみの味がするのよ」
小澤征爾さんの言葉です。
私も、すごく共感するところがあります。
音楽だけにとどまらず、全てのことにおいて言えることだと思います。
悲しみを知らず、苦労を知らず、天真爛漫、純真無垢な美しさもありますが、
奥行き、深みという面で、人々の心を捉えるには、色んな感情を内包した美しさってあると思います。
そういった意味では、悲しい経験も大切なのかもしれません。
真に人の心を震わそうと思うのであれば、幅広い感情の引き出しを持つことは大事ですね。
説得力が違います。
演奏って、その人の人間性や生きてきた軌跡が現れると思います。
聴き手の心の深淵に届く演奏をするためには、人生経験を積むことも大切だと思います。
音楽は時間芸術ですから、美しいものの儚さ、一瞬の輝きを音に紡ぐことができたら、音楽家の本望なのかな、と思います。