ヴィゴツキーという心理学者が提唱しました。20世紀初頭の人ですが、1980年代以降、再評価が著しくなっています。
発達や学習が他者との関係なしには成立しないことを早くに主張した一人です。
子どもの知的水準には二種類あり、
1)独力でやり遂げることのできる現在の水準
2)大人の指導や援助、仲間との共同(模倣を含む)があればやり遂げることのできる明日の水準
が、あります。
ヴィゴツキーは、この両水準の開きを「最近接領域」と呼び、教育はこの領域に入る課題を取り上げ、発達を押し上げる役割を果たすべきだと主張しました。
ところで、
ピアノレッスンが多くの場合、個人レッスンであるのは、その子その子で最近接領域が異なっているからです。
明日の水準を現在の水準にすべく、私は、新しい曲にとりかかるとき、その子に応じてあらかじめ説明をします。
いわゆる足場かけです。
その子の能力、発達度合いに応じてヒントを出します。
いずれ、先生の手を離れても、新曲が弾けるように(足場外しできるように)少しずつ発達を促します。
大人になったとき、好きな曲をピアノで弾いて楽しめる人になってほしい、
そのための足場かけは惜しまないつもりです。