発達心理学で、エリクソンやピアジェなど発達理論を学ぶ中で、また、思春期青年期の心理臨床を重点的に学んで、なるほどと謎が解けたことがあります。
それは、子どものころ、なんの苦もなくスルスルと入っていった暗譜が小学校高学年以降、難しくなったこと。
単にページ数の増加だけとは思えない、苦労して苦労してやっとこさ覚える状態。
なんでこうなった?と自分で不思議に思っていました。
どうやら記憶システムや方略が変わったことによるそうです。
前思春期までの子どもは視覚情報や音韻情報をそのまま加工せずに感覚的にとどめておく(感覚記憶)ことが出来ます。
一方で前思春期を過ぎると過去の自分の経験や知識と結びつけて意味づけて覚える(意味記憶)ようになります。
そういう移行期のお年頃なのです。
これを知ったとき、だから記憶の引き出し方が変わり、暗譜に苦労するようになったんだと、思わず膝を叩いてしまいました。
もし、思春期に差し掛かる学習者さんで暗譜が急に苦手になった方、ありましたら、順調に発達段階を踏んでいる証拠です。悲観しないでください。暗譜の仕方をかえましょう。
感覚で覚えず意味で覚えましょう。手が勝手に覚えている状態は卒業、考えながら弾く時期にステップアップのときが来たのです。