私の尊敬するお医者さま、日本の音楽療法の第一人者でもあられた日野原重明先生の最後の本です。サブタイトルに「105歳どうしても遺したかった言葉」とあります。
先生は2017年に105歳で亡くなられました。
先生については有名すぎて説明するまでもないと思いますので省略しますが、この本、発売されてすぐに読んだのですが最近になって、また、読み返してみました。
あまり話しますとネタバレになってしまいますので、少しだけ。
どの章もとても良いのですが、私がとあるコンサートのスピーチで引用させていただいた言葉を紹介したいと思います。
「僕は“運動不足”より“感動不足”のほうが深刻ではないかと感じています」
先生は100歳を越えても、なお、様々なことに挑戦していらっしゃいました。
新たに何かを始めることの中には、心が躍動するきっかけがたくさんつまっています、とおっしゃっています。
年を重ねるたびに叡智や経験を獲得しますが、心を動かす力が弱まり、それがフレイルの1つでもあるのかなあと思います。
私がピアノに大いなる可能性を持っていると、訴えたいのにはここにあります。
私のことになりますが、私は新しい曲を練習し始めるときが一番ワクワクします。
ピアニストは一般に長生きです。指先を動かすことにもあるのでしょうけど、音の微細な表現にこだわる瑞々しい心を持ち合わせているからなのかなあと考えます。
話はかわって、現代における映像は、カラフルすぎて、画質が鮮明すぎて、刺激が強すぎるきらいもあります。刺激に慣れすぎては小さな心の動きを発見できないこともあります。
小さな感動に気づける若々しさをいつまでも持ち続けたいですね。